PEOPLE & REPORT

ローヤリング授業~体験者の声~

法学既修者A.Mさん

授業体験者の声
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 私は、「優れた人間性と専門知識を実社会に応用する能力を備えた市民法曹の育成」という本大学院の教育理念に共鳴し入学したこともあり、実生活に身近な弁護士になりたいと考えています。 

 「ローヤリング(面接交渉)」のカリキュラムは、専門知識の習得や相手方を意識した法律家としての振る舞い方という技術を、面談・交渉・調停のロールプレイの中で身につけることを目的としており、本大学院の教育理念および私自身の目指す弁護士像に合致した内容であるように思われました。
 
 授業は、基本的に座学とロールプレイが交互に行われます。具体例として、模擬交渉の回では、戦略論・行動経済学・ゲーム理論といった、交渉の際に武器となる技術を学ぶのですが、当然これらは他の科目で触れる機会はありません。

  しかしながら、豊富な実務経験を有する先生が、私たちにもわかるよう具体的な事例に置き換えて話してくださるので全く心配はありませんでした。ロールプレイでは経済的に苦しい2つの会社に分かれ、債務の弁済についての交渉を行いました。もちろん学んだ内容を即座に実践できるわけではありませんが、終わるごとに先生の講評があり、失敗を繰り返しながらも確実に弁護士として習得すべき技術を学ぶことができました。 

 私が特に勉強になったと感じたのは模擬面談の場面です。法律相談では相談者と弁護士との間には法的知識の隔たりがあるため、要求をわかりやすく伝え、そして問題となりうる条文の要件に該当する事実を引き出す必要があります。そしてその事実を自分で評価して結論を出し、面談の終結に導かなければなりません。時にはさらなる事実を引き出して様々な側面から検討することが必要であり、それに対する自分なりの結論を出すという一連の過程は、事例問題を解くことに通じるのではないかと感じました。 

 また、それを相談者にいかに伝え、いかに今後の方向性を明確に打ち出して面談を終わらせるかは実務の際に必要となる弁護士としての技術です。そのような点にも目を向ける経験ができたことも、実務を見据えた勉強になりました。 

 「ローヤリング」の内容は一朝一夕で修得できるものではありません。これは法学のみならず様々な分野の資料を読み、そして多くの実務経験を経て蓄積されていくものであると考えられるからです。しかし、学生にとって実務に触れる機会は大変貴重ですし、以上のように日々の勉強に活かすことのできる内容も多分にあります。 

 最後に、「ローヤリング」授業担当・坂本正幸先生の「弁護士に特別な才能はいらない」という言葉を胸に、実直に勉強に励みたいと思います。